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【知らないうちに社会貢献?予約した分だけ子供たちに給食が届く】飲食店予約アプリ「テーブルクロス」について

日経MJの5月16日号に載っていた

面白い記事の紹介です。

 

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目次


1.記事内容の要約


飲食店予約アプリ「テーブルクロス」は、

このアプリから飲食店を予約すると

予約した人数と同じだけの給食が

発展途上国に子供に届けられるという

「手軽に社会貢献」を促すアプリ。

 


仕組みとしては、テーブルクロスを通じて

飲食店に予約が入った場合、

飲食店はテーブルクロスに

予約1人当たり180円を支払い、

そのうち30円をテーブルクロスが

発展途上国の現地NPOに寄付し、

学校給食として届けます。


普段通り飲食店を予約するだけで

社会貢献が出来るわけですが、

「自分が社会貢献をしている」

という実感を沸かせるための工夫として、

自分が寄付した給食の数を確認できる

「エンジェルカウンター」という

機能を装備しています。

 

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2.独自の価値提供は何か?

 


飲食店予約アプリと社会貢献を

結びつける発想はとても面白いです。


このアプリが狙うのは、

「寄付や社会貢献に興味があるけど、

実際に行動に起こすほどではない」

くらいの人たち。

 


こういった人たちに、アプリを使って

「手間をかけず、無意識に

社会貢献をしてほしい」

「そうすることで、貢献意欲などを

満たす機会を提供する」というわけです。

 


3.成功のための課題は?

 


「無意識に、手間をかけずに」

を実現しようと思うと、

より一般的な予約アプリと

似通ってしまうので、

大手グルメサイトの提供する

飲食店予約アプリと競合します。


提携店や情報量、クーポン特典などは

大手に敵わないわけですが、

じゃあその弱みが致命傷にならないように、

差別化をしないといけない。


つまり、アプリを使うときに

・口コミ件数を重視するなら食べログ

・クーポンを重視するならホットペッパー

・~~を重視するならテーブルクロス

という、

テーブルクロスを使う理由を

いかに明確にするのか。

(実際は、テーブルクロスの中の

店舗情報などは、食べログから

データを拝借している模様)


一応記事の中には、

自分が予約を通じて寄付した

給食の数が確認できる

「エンジェルカウンター」

という機能が紹介されています。

 

しかし、最初のうちって

「あなたが寄付したのは3食です」

とか表示されても、

「俺、いいことしたな!」って

実感するでしょうか?


「あなたが寄付したのは100食です」

ともなれば、やった感が出てきますが、

100食も寄付するまでに、

だいぶ時間がかかりますから、

それまでにやっぱり今まで通り

食べログホットペッパー

戻っちゃうんじゃないかな。


最初は目新しくてこのアプリを

ダウンロードする人もいるでしょうが、

予約アプリなんて習慣の世界なので、

習慣になるまでいかに使わせるか、

というのがとても大事だと思います。

 

 

4.解決策の提案


店舗情報は食べログから流用しているものの、

クーポンの掲載はなく、

掲載数もまだ少ないテーブルクロス。

独自の価値は「手軽に社会貢献」です。

そこをしっかり打ち出さないと、

他の予約アプリと同質化してしまいます。


既存機能のエンジェルカウンターは、

ある程度の回数使用して初めて

ユーザーの満足度を生み出すと思うので、

課題はこのアプリの使用習慣の

定着化にあると思います。


そのためには、ユーザーの行動1つ1つを

丁寧に喚起していくことが

必要ではないでしょうか?

行動の1つ1つとは、

1)とりあえず、一度使ってみる

2)使ってみて、他のアプリとの違いを知る

3)違いに納得し、次回も使おうと思う

4)次回に思い出してもらい、使ってもらう

といったことです。


やはり1と2をまずはクリアすること。

そのためには、潜在ニーズである

「社会貢献をしてみたい」という気持ちを、

行動につながるところまで強める工夫が

必要ではないでしょうか?

たとえば、

「どんな人たちを助けられるのか」

「30円の寄付でどの程度のことができるのか」

「今までの寄付でどんなことができたのか」

「現地の人がどれだけ喜んでいるのか」

など、寄付によって実現できることの

明確な提示が必要だと思います。


ちなみに実際に使って見たところ、

店舗情報のページから

電話予約をする際に、

予約人数を入力するように

なっていました。

電話をかけ終わった後に、

「予約が完了しましたか?」

という確認画面が表示されて、

「はい」を選ぶと、

「ご予約ありがとうございました」

とメッセージ画面が出ます。

 

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この部分でもっとしっかりと、

「自分は寄付といういいことをしたんだ」

という自覚が生まれるような演出や、

それをシェアして他の人に伝える

手段を提供した方がいいでしょう。


具体的には、今回僕は

4人分の予約をしましたが、

4人分の予約で提供される食事と

それを食べる子供たちの写真が

表示されるであるとか。

あるいは自分が寄付したことを

SNSにシェアするボタンを作り、

「食事の予約で社会貢献してる人」

をアピールできるようにするとか。


こういう、自己満足や自己承認、

他者へのアピールといったことを

適切なポイントで満たしてあげると

アプリを使うことへの満足感が高まり

仕様の習慣化に繋がると思います。

 

 

では、今回はこの辺で。

 

 

***

 

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